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亜細亜編

台北3泊4日・初心者ツアー

   台湾へ行くのは初めてだ。上海、中国返還前の香港は行ったことはあるが、こんなに近いのに今までトランジットでしか行ったことがない。  

観光スポットも街から離れたところが多いし、レストランも知らないから、観光・食事つきのパッケージ・ツアーにきめた。

  ホテルは、ロイヤル・タイペイという日航系ホテルを選択した。


<1月25日>

台北空港まで

日本アジア航空の10時発の便で成田を出発。今回の夫婦旅のおともは、かっぱのぼん。横浜中華街で買った中国風の帽子と、不器用なママが必死で作った衣装を持っておでかけだ。

台北の桃園空港着は12時55分だったが、空港の入国審査がめちゃくちゃ時間がかかり、出るまでに1時間。迎えの現地ガイドの人も相当待ったに違いない。

現地ガイドの頼(らい)さんにピックアップされ、車で台北市内に向かう。高速道路は車線数も多く、よく整備されているように見える。料金所も数箇所にしかなく、区間によってはタダで通れる。高速料金も駐車料金も日本とは事情が違うようで大変安いようだ。


両替店〜ホテル 義務感で買い物 

市内に入ると、第一の関門・両替店に連れてゆかれる。食品中心のお店だ。有無を言わさず二階の席に案内され、まずはお茶を淹れてもらう。目の前にはたくさんのお茶請けのおつまみ、干したマンゴーやいちじく、ビーフ・ジャーキー、豆などが並んでおり、「どーぞどーぞ」と勧められる。からすみもあぶって出してくれる。その間、封筒に日本円を入れて両替を頼む。手数料を考えれば、レートも常識的範囲内だと思われるし、現地通貨も必要なので、つべこべ言わず従った。2万円で5,280元、1元≒3.8円だった。


ぼんを中国風の衣装に着替えさせて、お茶をいただきながら時間をつぶす。両替の封筒が戻ってくると、今度はその店でショッピングというお決まりのコースとなる。店員がすぐ寄ってくるので、何か買わないと出られない感じだ。せっかくだからお茶を買おうと、凍頂烏龍茶、東方美人の二つを購入。そのあと、下の階に連れてゆかれ、からすみを勧められる。日本に比べれば安いかもしれないけれど、こちらでもそんなに安いものではないようだ。義務感も手伝ってひとつ購入。総計で11,700円支払う。これでお店を出られるぞ。再び車に乗り、ホテルに到着したのは15時半。ここまで長かった。

ホテルは中山北路に面し、外観はレンガつくり、内装は紫系で統一されている。部屋にはウェルカムフルーツ、バスローブが用意され、浴衣もあるところなどは日航ホテルだけある。スタッフも日本語を話す人が多いので助かる。


あ、ファミマ、セブンイレブン、モスバ、大戸屋・・・・ここ、どこ???

夕食に出かけるため4時半にホテルに迎えの車をよこすというので、それまで一時間ほど中山北路を歩いてみる。繁華街であり、特に名所旧跡があるわけではないのだが、色々な店のウィンドーを覗きながら歩く。予想以上に日本のコンビニが多く、中では日本語の商品がそのまま説明もなく売られている。ただし、ひとたび買おうと思ってレジに並んでも、日本語が通じるわけではない。日本食レストランも多い。モスバーガー、大戸屋、吉野家まである。漢字表記なので、大体意味の想像もつく。看板を見ながら散歩していると、結構面白い。

外来語には当て字をするようで、高級時計のローレックスに「労力士」、ロイヤル台北ホテルのロイヤルには「老爺」という字を使っている。どすこい時計と、じいちゃんがやってる古びた旅館か・・・。漢字にはそれぞれ意味があるので、絶妙な当て字もあれば、そうとはいえないものもある。


鼎泰豊(ティン・タイ・フォン)で名物の小龍包を!

5時前にホテルの戻り、再び車で夕食の鼎泰豊に向かう。ホテルのある中山北路は、台北市を忠孝路で南北に分けると北側、行こうとしている鼎泰豊は南側にあるので意外に遠い。車なので、一方通行もあり、市内の移動なのに高速度路のような立派なところを走り抜けたりする。

到着した鼎泰豊の前にはすでに行列ができている。ツアーなので予約が取ってあるらしく、すんなり二階に上げられ、着席すると、ほうれん草炒め、キャベツの酢漬け、麩の煮物、酸辣スープなどがどんどん出てくる。点心の蒸篭がきはじめる。小龍包は二人で10個、ヒスイ餃子、えびの包子は一人1つ、餃子は2つずつなので楽勝だ。とはいえ、チャーハンもつくので、おなかはいっぱい。最後には蒸篭で餡入りの小包が1つずつ出てくる。せっせとたべて、チャーハン以外はすべて平らげた。着席から30分強で食事は終了。

ここのお手洗いを借りたが、これも行列。そのわけはお手洗い2ブースに対して一人清掃員がいて、利用者が出てくるたびにさっとトイレの掃除をするためだ。点検してから、客を招き入れる。利用者はきれいに使えてありがたいが、なんと手間のかかることか。そのときだけだったのか、毎日こんなことをしているのか、観光客の私には分からないが、今度行くことがあれば確認してみよう。

カンコロ夜市はエキサイティング

食事が済んだ頃、ガイドさんに迎えに来てもらう。そのまま車に乗って、台北の北の士林夜市に向かう。

士林夜市は台北でもっとも大きい規模の夜市だそうだ。あやしげな露店が並ぶ夜店街はスリルがありそうで、ちょっと緊張したが、一般の台北の人たちも多勢くりだしていて安心して歩ける。露天だけではなく道の両側の普通のお店も開いている。ゲームセンターでは、ばったものの日本のキャラクターが賞品になっていた。洋服や小物類、ファーストフード、デザート等が売られており、夜市の散策はカラフルで楽しい。見たこともない果物が並ぶ露天ではガイドさんが解説をつけてくれる。他にも安い金額でほくろを取ってくれる面白い店を教えてくれた。まさか。試してみる勇気はなかった。

銀河夜市という別の夜市の名物となっている「胡椒餅」のお店が出ていたので、一つ買ってみる。店のおばさんが店頭で餅をこね、中に具を包み込んで渡すと、相棒の男性がかまどで焼き、焼けたものを取り出して紙に包んで売っている。手ばやで小気味いい。一個40元で、わりと大きめだ。饅頭の皮はしっかりした歯ごたえがあり、中にはぴりりと胡椒がきいたひき肉と野菜が入っている。

他にも、店先で麺類、饅頭等が湯気を立てている。得体の知れないデザートやプチトマトの串刺しの飴も試してみたいが、夕食を済ませているのでおなかはいっぱいだ。夜市には、食事はしないで来るべきだと思った。

夜市の終わりのところは電気街のようになっている。ふと見ると夜市の入口の看板がある。私たちは逆から入ったらしい。カタカナで「シリンカんころヨイチ」とあった。漢字で書くと「士林観光夜市」なのだが、この手の日本語の間違いはありがちだ。

小一時間、観光夜市を散策して戻ると、今度は道を渡ってすぐの「士林美食廣場」へ向かう。
入り口から客引きの声が凄い。ぼーっと歩いていると勝手にメニューを渡される。この建物の中はほとんどすべて食べ物のお店だ。一人にひとつパールミルクティーが付いているというツアーなので、一方的に渡されるのかなあと思っていたが、ガイドさんが、何がいいか聞いてくれる。

タピオカが入っている飲み物はタピオカをパールに見立ててパール****」というが、日本ではミルクティーに入れた「パール・ミルクティー」が一般的だ。ここでは多種多様な飲みものにタピオカが入っている。メニューの数の多さにびっくりし、せっかくだからひとつは愛玉子のタピオカ入りドリンクに、もうひとつはパールミルクティーにしてもらう。1杯30元だ。ガイドさんが私たちの分を支払い証明に伝票をもらっていた。

その場でプラスチックのコップに注いだらビニールを熱処理してふたをつけてくれる。これをしてもらうと持ち歩きにはよいが、ストローのとがった部分を突き刺してふたに穴をあけなければならない。勢いつけてプスッ、中の液体がはねてとばないように!

美食廣場の中を歩いてみると、町でもよく見たが、どくどくしい蛙の絵が書いてある看板を見つける。ガイドさんに、これは何かと聞くと、蛙のたまごの絵を指して、タピオカをイメージしているのだという。タピオカ入りのデザート屋さんの看板なのだ。タピオカは大変ポピュラーだから、この看板をどこでもよく見かけるのも道理である。蛙は卵を多く産むから子孫繁栄のシンボルで縁起がよいのだそうだが、蛙の卵をイメージしてしまったがために、タピオカを食べたくなくなっちゃう人はいないのだろうか。

廣場では、飲み物やデザートだけではなく、料理も食べられる。鉄板で焼いたものや煮沸したものもあるので、衛生面ではこれらのものを食べておけば大丈夫そうだ。そのうち強烈な臭気が漂ってきた。看板には「臭豆腐」とある。「これがうわさにきく、例のあれか」と、その臭さで納得する。35元ほどの値段が付いていたが、これはおなかがすいていても、試さないかもしれない。
 

夜市を満喫したあとホテルに戻る。途中でガイドさんに、これからマッサージに行くなら、車で送り迎えするといわれる。客を連れて行けば、お店からリベートが取れるのだろうが、こんなときに体をゆすられたらたまらない。もうおなかもいっぱいだし、早く部屋で休みたいといってお断りする。

初日からずいぶん色々回った気がするが、ホテルに戻ったのはまだ9時前。ゆっくり入浴して、早めに眠る。     

  
<1月26日>
朝食はブッフェ
なんといっても日航ホテル、入り口横のティー・ルームに入ると日本語で応対される。着席後は、ブッフェ形式なので、好きなものを取りに行く。飲み物のところになんだか知らないお茶があるので取ってきてみる。変わったミルクティーだ。薫草と説明があったが、どうやらラベンダー・ティーがベースらしい。

ブッフェには西洋式のベーコンや卵料理、中華点心、カレー、日本食と何でもある。南国のフルーツもあるが、あんまり甘くない。

九イ分(きゅうふん)  ※きゅうふんのふんの字は本来は分にニンベンが付きます。日本語文字にないので、半角カタカナのイで代用します。
8時40分にホテル出発。
今日もガイドは頼さんだ。客は我々だけ。

目的地は映画「悲情城市」のロケ地、また「千と千尋の神かくし」の町のモデルとなった九イ分だ。他のツアーでは、大体、阿妹茶酒館八番黄金地茶坊、あるいはこの辺では最古の九イ分茶坊のいずれかでお茶をいただくプランが付いている。このツアーの日程では何も書かれていないので自由散策なのだろうと思い、どこでお茶を飲もうか楽しみにしていた。

途中から基隆という港町が見えてきた。この台湾北端の町は、気候がほかとは全く違うという。一年のうちほとんどの日が雨なのだそうだ。今回は立ち寄らず遠くから見るだけだ。車は山のほうへ登ってゆく。そのうちに、おわんをひっくり返したような山が見えてくる。これが、鳥の籠の形に似ているのだそうだ。「鳥の籠」と同じ音で違う字を当てたのが「基隆」なのだそうだ。

山を眺めているうちに基隆の町ははるか下に見えるようになってきた。車がとまると、スターバックスが見える。その先は、九イ分の町の入り口だ。9時40分に九イ分に到着。台北から一時間くらいしか、かかっていない。

ままならぬ九イ分観光 お茶させろ!

昔、九イ分に、九家族が住んでいたという。山の上から買い物に降りるときは、当番で九軒分の食料を調達しに行ったというところから「九軒分」が「九分」となったということだ。「イ分」という字は日本にはないが「分」と同義。

細い坂道の両側にお店が並び、すでに日本人の観光客がそぞろ歩きをしている。お店はようやく開きかけたところだ。小さな食堂で麺や饅頭を売っている。町の入り口近くのお店で、台湾の将棋が売られているのを見て、ガイドさんが説明を始める。日本の将棋は相手のこまを取ったら自分の持ち駒として使えるが、台湾の将棋は取られればおしまいで相手に使われることはないのだそうだ。ガイドさんは将棋が好きらしく、説明に次第に熱がこもってゆく。一方私はというと気もそぞろ。なぜって、魚の団子の入った麺がおいしいらしいし、九イ分名物という芋の団子もどこかで一口食べてみたいと、目はあたりのお店を物色しているからだ。だが、どこにも立ち寄る気配もなくガイドさんはただ坂を上って行く。お茶館に行ったらお菓子を食べればいいか・・・などと考えているうちに町の上のほうの展望台にたどり着いた。ふたたび基隆を眺めながらガイドさんの「基隆」と「九イ分」の名前の由来の説明が始まった。
  
写真を撮ってもらったあと、「ここからは階段があるので降りていきます」とのガイドさんの説明で、いよいよガイドブックで見た階段のあるメインストリートに行くのだなと思う。階段の両側には赤いちょうちんがかかっている。

階段の真ん中辺りには「悲情城市」の撮影の舞台になったという阿妹茶酒館もある。茶館の入り口には「あめおちゃ」とひらがなも書いてある。 九イ分は、日本が占領していた頃は金鉱の町として栄えていたらしいが、鉱脈が尽きて人口も減り、さびれてしまったそうだ。映画「悲情城市」が有名になったので、九イ分はふたたび観光地として有名になり、阿妹茶酒館も観光名所となったようだ。

「悲情城市」は、ヴェネチア映画祭で金獅子賞を獲って有名になった映画だ。日本の支配から開放された喜びもつかの間、中国本土からきた同胞であるはずの政府によってもたらされた台湾の暗い時代を背景に、ごく普通の人々が悲劇に飲み込まれてゆくという筋書きだ。激動の時代を、美しく静謐な画面で綴った、やりきれないほど悲しい物語である。ガイドさんが、「当時は、ちょっとでも政府の批判すると、次の日、その人、姿、見えなくなる」と言った。「最近、ようやく台湾で、あの時代のことを話すことが出来るようになってきた」と、ぽそっと言ったのが印象的だった。

茶楼の門の前で「写真を写してあげましょう」とガイドさんが言うので撮ってもらう。その後、ちょっと中に入るがすぐ出てきてしまう。ここでのティータイムを期待していた私は、全くその手の話も自由行動の時間の話もないことにあせり始める。もしかして九イ分観光って歩くだけ?

ガイドさんが、途中の映画館跡を見て写真を撮ったら、「この先、降りたら車が来ていますから」というので、全く自由行動はないのだと判明し、胸のくすぶりが爆発。「何時に車にいけばいいですか、もう少し見たいんですが」と言う。ガイドさんは怪訝な顔をしていたが、10時半に出発だというので、それまで自由時間にしてもらった。言わなければこのまま連れ帰られてしまうところだった。

  阿妹茶酒館のパンフレット
やっと勝ち取った自由時間もたった30分。まず、階段を戻り、写真だけ撮って通り過ぎた阿妹茶酒館へ行く。中に入ったら他の団体と一緒だと思って上階へ通されてしまう。景色がとてもよいが、注文をとりに来る気配もないので、ここでとても中国茶を飲んでいる時間はないと判断し、お店の外にでる。入り口にいたお店のおじいさんに、「ここでお茶が飲みたかったのに、時間がなくて残念。ごめんなさい」というと、「またくればいい」と言ってパンフレットをくれた。

時間はないが、どうしてもお茶がのみたい。中国茶は飲むのに時間がかかるし、途中のお店を見に戻るにも階段の上にあがらなければならないし、と迷っているうちに時間が過ぎる。

ふと見ると、階段途中のひろばの角の建物の2階に九イ分珈琲という喫茶店がある。ベランダからおじいさんが手招きしているので、中に入る。時間がないけど大丈夫かと聞くと、大丈夫大丈夫という。本当に分かったんだかどうだか分からないが、ベランダの席に腰掛けてコーヒーを待つ。赤いちょうちんが下がるベランダに座り、階段の町を見上げると、このカフェはすごくいい場所にあると気づく。ここには古い昔のままの台所があるという。なんとなく焦り気味の私たちに、おじいさんは、ゆっくりゆっくり、といいながら、相方の肩からかばんを下ろさせ、リラックスしなさいという。せっかくお茶を飲むのだから、短くともそのときだけはゆったりとした気持ちですごさなければ!おじいさん、さすがだなあ。

出されたコーヒーはマンデリンで意外と本格派(失礼!)。おいしいパイ皮に包まれた餡のお菓子が付いて一人前200元だった(日本円で考えると一人800円弱)。観光地価格なのか台湾の物価からすると結構高いかもしれない。だが、ここですごした短い時間は、何にも代えられない思い出になった。

おじいさんは、あわててコーヒーをこぼす相方にも「気にしない気にしない」を繰り返し、この場所は最高だといって映画館と街並みをバックに、ベランダにたつ二人の写真を撮ってくれた。

ほんの20分くらいの間にコーヒーとお菓子を平らげたのだから、せわしないはずだが、こんなにゆったりした気持ちになったのはなぜだろう。この町の時間の流れは、ほかとは違うのかとさえ思わせた。阿妹茶楼のおじいさんも、九イ分珈琲のおじいさんも、おそらく過酷な時代を生き抜いた人たちだ。すべてを達観したような穏やかな顔が仙人のようだ。

珈琲を飲み終え、階段を下ってゆくと、ガイドさんが迎えにきた。丁度10時半だ。これから台北に帰って昼食に向かう。

高速道路の途中、山の斜面の中腹にミニチュアの家のような墓がたくさん集まる墓地がある。色も派手だし、形も家のようだし、とてもお墓には見えない。知らなければ「かわいいけど何だろうね」で通り過ぎてしまうかもしれない。ガイドさんの話だと、こうした墓地のことを「ナイトクラブ」というのだそうだ。夜は、皆さん、墓から出てきて、たいそうにぎやからしい。

お坊さんも小躍り、精進料理のバイキングは「おつでげす」
台北に戻ったのは11時半。レストラン蓮香齋で精進料理のバイキングだ。どこかで他のツアーの人たちと合流するはずだが、今日の昼食も二人だけのようだ。それなら九イ分で、もっと自由時間を作ってほしかったのに、とまだ未練たらしく考える。

精進料理はめったに食べる機会がないので、とても楽しみにしていた。蓮香齋は地下一階にあり、大変広い。品数も恐ろしく多く、スープだけでも5、6種類、点心風のもの、炒め物、麺、デザート、果物、お茶とコーナーに分かれているが、いずれも充実している。好きな野菜を選んでその場でいためてもらうコーナーもある。見た目は鶏の炒め物だったり、味はチャーシューだったりするのに、肉でないという。よくできているものだと感心するばかりだ。見たところお坊さんと思われる人達が、そろいのオレンジ色の作務衣のようなものを着て、レストラン内を闊歩している。精進料理なら好きなだけ食べられるぞ、と気合が入っているように見える。殺生はいけないという教えは忘れないが、食べる欲望は目下全開状態らしい。

点心コーナーの隅のほうに、悪臭漂うブツを発見。士林夜市では、近づいて覗くのさえも躊躇した「臭豆腐」だ。今こそ勇気を奮い起こすしかない。バイキングという機会でなければ、ほんの一口だけ食べてみるということはできまい。鍋でピリ辛に煮込んであるので、なるべく小さいものを選び、辛さでごまかしながら食べる。一口含むと、口の中いっぱいに広がる悪臭。でも何とか食べられる。落語「酢豆腐」のフレーズを思い出し、求められた感想に、気丈にも「おつでげす」と返してみる。話のタネにと相方にも薦める。おっ、珍しく食べたね!

坊さんと張り合って、次々と取ってきて食べる。春雨の汁麺も作ってもらう。相方はすでにデザートに取り掛かり、お茶の種類の多さにも感嘆している。精進料理というだけでヘルシーと決め付けている節があるが、やはり量が過ぎればよろしくはなかろう。

ガイドさんがきたので、そろそろ切り上げる。また来てもいいかなあと思ってお店のカードをもらっていく。
ガイドさんにたくさん食べたと話すと、精進料理は野菜ばかりのかわりに油を多用するからね・・・とのこと。ほらやっぱり、食べ過ぎはダメだよ。

行天宮にお参り
ランチを食べた後も、やっぱり二人だけで観光だ。

まずは行天宮へ連れて行ってもらう。周囲にはお供え物を売るお店が並んでいる。お供えはお菓子が多いようだ。お供えしたら持ち帰って食べるという。

行天宮は、1949年にこの場所に移されたという。関羽を祀ったもので、商売繁盛のご利益があるらしい。
外見は長い歴史のある建物ではないが、大きな門の上には両端にむけて反り返るような赤い屋根が付いており中央に赤い玉があり、屋根の両端には龍が守っている。龍は水を吐き火を鎮めるという、火災除けだそうだ。一枚岩の柱にも見事な龍が彫刻されている。神様におうかがいをたてるときに使う門の前には天然で完璧な球体になっている石が飾られている。こういう自然の力の業は奇跡のように思われ珍重されているのであろう。

門の中ではたくさんの人々が思い思いに、赤い三日月型の牌を地面に投げて願掛けをしている。願いごとをしながら、投げた二つの牌が裏と表になれば願いが叶うということのようだ。何回か連続して行うらしい。

三国志の武将・関羽がなぜ商売の神様となってしまったかは、ちょっと不思議だったが、説明によると、関羽は初めてソロバンと帳簿を使ったという言い伝えがあるので商売と結びついたということらしい。人柄も魅力的だったらしく、関羽は中国歴史上の人気キャラのようだ。

行天宮でいただいたお札など敷地の中には、参拝者の世話をするボランティアの人たちがいる。中国の新年を迎える準備の時期らしく、新年の飾りやお札を配っている。その中のおばさんが「日本人?」と日本語で声をかけてくる。お願いをする時に、これをもって、名前を言うのだといってプラスチックのお札をくれる。お札は何度でも使えるそうだ。そのあと、お飾りをもらうのに並べという。こんな不信心な観光客で申し訳ないと思うがせっかく言ってくれるのだから従うことにした。端からひとつずつ3枚の赤い飾りと説明書きをもらうと、さっきのおばさんがやってきて、くるくると丸めて輪ゴムでとめて渡してくれた。一文の得にもならないのにこんなに親切にしてもらうと、日本が占領していたという暗い過去があるだけに複雑な気持ちになる。


えーっ、ここが占い横丁?
行天宮を出ると、ガイドさんは、道を渡るつもりか小汚い地下道に入る。階段の途中に人が座っており、「痛くないよ」と声をかける。糸を使って顔のうぶ毛をすってくれるらしい。本当に痛くないのか?しかし、この階段に座ってやってもらうのも、なんか落ち着かないだろうなあ。

階段を降りたら地下道には小さなブースが何軒も並んでいる。占い横丁というのはこの地下道のことらしい。もっと妖しげなムードのある空間かと思っていたが、そんな雰囲気もない。日本人客もが多いらしく「日本語OK」の看板が出ているお店もある。占いは1件1,000元くらいのようだ。やったことはないので分からないが、特に安くはないと思う。話のタネに占ってもらうのもいいかと思ったのだが、考えてみると占いたいこともないので、見学だけにした。地下道を引き返し、地上に出ると、今度は足裏マッサージに連れてゆかれる。

これは試練か拷問か? −足裏マッサージの恐怖
足裏マッサージは再春館というお店で体験。シンガポールでやったことがあるが、痛いんだよ、これが・・・。
まず足を洗い席に着く。最初のうちはそんなに痛くないが、そのうち、痛くなる。「痛い」というと、「ここが悪いね」と足裏と体の部位の対応表を渡される。「ここ、肩こり」、「胃」、「肝臓」等と次々悪いところを指摘し、「これ飲むと効く」と値段の表示もない漢方薬を出してくる。そして、「痛い」と言う度に箱を示して薦める。
冷静になってみると、「ここをこんなに強く押せば誰だって痛い決まっている!」と思う場所もある。足の指を一本一本骨ごとしごかれては、悲鳴も上げたくなる。これで痛くない人っているの?じっと我慢をしていると、これでもかとしごいてくる。人の顔色を見て、痛いと認めるまでやっているように見える。

「もう我慢大会はおしまいにしてくれ。これは拷問だあ!!!」と心の中で叫ぶ。

いくら勧めても買いそうもないと分かると、お高い漢方の箱はふたたび陳列棚に戻される。そろそろ規定の30分だ。
やっと終わったときは、「足が軽くなりました」と相方は言っていたが、こっちは痛さで体が硬直して、かえって肩がこってしまった。

お店にあった価格表で見ると、この拷問の代金は700元であるようだ。もちろん漢方薬を買えば∞(無限大)。
あとで、二人で悪いと指摘された体の部位を見たら、ほとんど同じだった。

地獄のあとのパラダイス
足裏マッサージの後はふたたび車で、昨日行った鼎泰豊の近くに行く。ここでは「冰館」という店で「マンゴーシャーベットのデザートを食べる」予定が入っている。

冰館でフルーツシャーベットをいただくガイドさんが氷館のカウンターで、注文してくれる。パンフレットにはマンゴーと書いてあるが、この時季はまだマンゴーがないので苺でよいかと訊かれる。別にマンゴーにこだわっているわけでもないし、苺が好きなのでもちろんOK。相方はキウィにする。一杯150元だ。他にも何種類かあり、値段はそれぞれ違う。

氷の上にはたくさん果物がのっかっていて練乳がかかっている。果物好きなら、これがおいしくないはずがない。ただ、吹きさらしなので、台湾は暖かいとはいえ、これだけの大きさの氷を食べるとなると体も冷えてくる。二人で1個でよかったかも。とってもおいしく頂いたが、冷え冷えになった。

回留(ほいりゅう)でお茶
回留でお茶ガイドさんが冰館に戻ってきて、今度はお茶を飲めと、近くの永康公園に面したレトロモダンな中国茶藝館・回留に案内してくれた。とてもおしゃれなお店で、店内には小物や雑貨が売られており、女性に人気がありそうだ。隣には遅めのランチを食べている客もいた。

回留の壁私たちは、観光客用のコースなのか、お茶菓子付きで台湾茶の工夫茶が用意されている。お店のお姉さんが、茶葉の香りを楽しみ、急須や茶碗を温め、最初の一杯を淹れてお手本を示してくれるので、あとは自分達でやってみるというものだ。何度か工夫茶は淹れたことはあるが、いまひとつ不器用で上手くできる自信はない。急須を逆さにひっくり返してお茶をいったん茶海にあけ、均等の濃さにしてから茶碗に分けるのだが、これが苦手で、時々お茶が外にこぼれてしまう。やかんも、電気の炉も置いていってくれたので、下手でもゆっくり淹れてみるか。 

一回で6−7煎位は飲めるそうだが、氷を食べたばかりなので、水分すら多量には入らなくなっている。 残念だが、適当に切り上げる。窓の外を見ると、外の席にガイドさんが座って待っているので声をかける。

台湾トイレ事情 流さない紙
回留はきれいなお店だったので、お手洗を利用したが、ちょっとショックを受けた。習慣の違いということなのか、お手洗いは水洗なのに、紙は詰まるので、近くにおいてあるゴミ箱に捨てろとかいてある。特に固い紙というわけではなく、普通のトイレットペーパーだし、トイレも普通のつくりのようだが、ここでは紙は流さないのが普通のことらしい。確かに、ガイドブックにもそのように書かれていたことを思い出した。しかし・・・。やっぱり水に流したい・・・。

民芸品店は苦手だ・・・
ツアーでは必ずついているものなのだが、またも土産物屋に連れてゆかれ、買い物場に解き放される。初日のお茶や食品の店では買い物したが、もう別に必要なものもない。だが何か買わないと出られない感じだ。ガイドさんは、トンボ玉が台湾の民芸品だと説明をしてくれるのだが、いいものは高いし、ちょっと見るだけにした。何か見ているとすぐ店員がよってくるので、本当に買う気がなければ面倒なだけだ。

こういう時間も何か有効に利用しなければと思い、お手洗いを借りたが、ここも紙は流さないタイプで、なんだかいやだ。

手ごろな食品でもないかと探し、豚肉を甘辛く味付けたジャーキーみたいなものを買う。1箱300元。どこかで買おうと思っていたので、丁度よい。晴れて店を出て、迎えが来るまで30分ほど散歩だ。「ああ、この分を、九イ分の通りで買い物にしてくれればよかったのに」とまたも二人でぶつぶつ文句を言いながら町を一回りした。

台湾料理ってどんなもの?
民芸品店から帰り、部屋で一休みすると夕食の時間だ。ホテルの下で拾ってもらい日本にも支店があるという台湾料理の老舗レストラン欣葉(きんよう)に行く。台湾料理というのはどういうものかよく知らないので、大変楽しみだ。夕食もまた二人だけだ。結局今日は一日中二豚の皮ごと煮込んだ東坡肉人だけで回った。

一番最初に登場したのは、こっくり煮込んだ東坡肉。豚の皮ごと煮てあるので、外側の食感が家で作るのとは違いプルプルだ。それから、食べてみたかった切り干し大根入りの卵焼き。これは台湾料理の一般的なものだそうだ。卵がからっと焼けており、さっぱりしていておいしい。

ハマグリの味のよく出た吸い物や、クセがあるのがクセになるにんにくチャーハン等平らげると、さすがにおなかがいっぱいになる。汁粉系、餅系のデザートもおいしくいただいた。

ノー・モア・ショッピング、ノー・モア・マッサージ!
そろそろ地図も頭に入ってきて、レストランの場所も大体どの辺りか分かるようになってきたのは進歩だ。食べすぎたのでホテルまで歩いて帰ってもいいかと思うのだが、せっかく迎えに来てくれているので車に乗る。ガイドさんが、明日の夕食はフリーなので、オプショナルツアーを予約するならデューティーフリーショップ内の旅行会社に行くかとたずねる。食事は二人で適当に探すからオプショナルツアーには参加しないというと、「デューティーフリーショップでお買い物だけでも」といわれる。「直接ホテルに帰ります」というと、今度は「マッサージ、これから行きませんか」となる。お金を落とさない客で申し訳ないが、やはり本日もすべてお断りする。買うものは特にないのだ。。。

部屋でだらだらして、風呂入ってバスローブに包まったまま早くも就寝。

<1月27日>
観光・ショッピング店つきプラン
本日は観光つきと観光なしを選択できる日だったが、観光つきプランにした。

今日は他の旅行者と混乗の車で観光だ。若夫婦とどちらかのご両親のようで、昨日は台北101タワーなどを観光してきたという。

車で台北の南の商業地区へ向かう。台北101は本日は見るだけ。「行きたければ今日の夜、行ってみたら」とガイドさんが言うと、同乗したご家族が、「途中まで展望台の料金を払って行ってみたら、その上に特別展望室があってまた別料金がかかるんですよ〜」「さぎだよねー」と笑っていた。なるほど、ありがちな話だ。

このあたりは新商業地区で三越なども店を出している。近代的なビルが立ち並び、ガラッと雰囲気が違っている。

やがて新都心みたいなところを少し離れると総統府が見えてくる。重厚なデザインのルネッサンス様式の建物だ。日本占領の時代に7年かけて建てたもので、第二次世界大戦で破壊されたが、修復された。周りの道も広く、きちんと都市計画がなされている。
これだけ広い道路なのに一方通行だったりするのは不思議。

中正紀念堂
最初に降りて観光したのは、蒋介石の業績をたたえるモニュメントである中正紀念堂だ。正門ではなく信義路にある門から入ったので、中正公園の正面からの眺めは見ることはできなかったのだが、紀念堂の2階に上がるとテラスから、25万ヘクタールという広い公園の敷地に建つコンサートホールとオペラハウス、紀念堂正面から下るまっすぐな階段と正門に至る道、両脇の花壇が見渡せる。コンサートホールもオペラハウスも、中国風の堂々たる建造物だ。

紀念堂の2階には、蒋介石の大きな坐像が中央に、壁には彼の目指した政治理念などがかかれている。観光客が、直立不動の衛兵がいるところに並んで一緒に写真におさまろうとする全世界変わらぬ光景も見られる。かつて歴史の教科書で見た「倫理、民主、科学」という「三民主義」の基本理念もここにも書かれていた。

蒋介石の像が設置された2階までは、89段の階段を上らねばならない。蒋介石のなくなったときの年齢(数え)の分、階段を作ったのだそうだ。数えながら登ったがどこで狂ったのか、89段はなかった、降りるときはさらにもっと少なくなっていた。どうやら、長い階段の段数だけでなく、2階の蒋介石の坐像のある部屋に入るとき数段昇る階段も含めるらしいが、昇りなおす元気はなかったのでまた今度確認することにしよう。

日本占領時代に築かれた都市計画、蒋介石の連れてきた軍隊による台湾人への弾圧、祀られる蒋介石の像、最近ようやく語られる話・・・・台湾の歴史は複雑だ。

龍山寺
龍山寺の門次なる観光地は、やはり台北の南部にある龍山寺。こちらは多数の神様がいるらしく、期待するご利益によって、供え物も違ってくる。お寺の前では、ねぎ、大根、せりの組み合わせのお供えが売られている。これは学業成就のお願い用で、これらの野菜の漢字の音が勤勉や聡明さをあらわす音と同じだとか。せり(芹=キン)は勤勉の「勤」という具合らしいが他の文字については残念ながら忘れた。

門構えは行天宮でも見たように、やはり屋根の中央に火事よけの赤い玉、両脇には水を吐く龍が置かれ龍山寺案内パンフレットている。屋根は木造、下は石造りだ。

向かって右の門を入り奥に進むと、第一のコーナーには学問の神様・大魁星君が祀られており、お賽銭箱のような透明なボックスの中には、受験票のコピーが入っている。台湾も受験シーズンらしい。箱のすき間に簡単に手がはいるようで、ガイドさんが勝手に人が入れた受験票のコピーを取り出して、「ここに生年月日、住所が書いてありますね。」と説明をはじめる。まじめそうな女子学生の写真もついてる。もし自分がお祈りに来たのなら、他人の見世物にはされたくない。そんなことをしていいの?とも思うのだが、ガイドさんは全く気にしない。お寺の中でも、お供えの花や野菜を取ってきて見せてくれるが、人が願いをかけたものもガイドさんの手にかかると単なる説明のマテリアルになってしまう。見たところ結構なお年なのだが、このドライさはどこから?お参りする人たちで混雑

最後のほうには、恋愛成就のお参りをするところもあり、若い人たちにはこちらも人気らしい。さすがに、顔写真つきのお願い札はないようだ。


             

茶楽でまたお茶-でも阿里山烏龍茶は試飲できない-
観光の一環でお茶専門店・茶楽による。ここで、お茶の入れ方を学び、飲み比べ、その後はお買い物という流れである。

台湾はウーロン茶の本場。凍頂烏龍茶と言うのが最高級品種だと思っていたが、まだあるんだ、その上が。高い山で取れるものほど高級らしく、凍頂よりも高山烏龍茶がさらに高く、台湾の高山群(?)阿里山地区で取れる阿里山烏龍茶が一番高いらしい。標高と価格は正比例するのだ。お茶の葉は急須に入れてからふたをして、何度も振るとより香りが強くなると、実演してくれる。茶葉をそのまま食べてみたり、香りをかいだり、急須の扱いを練習したりしながら、少しづつ実演で淹れてもらったお茶をいただく。お茶の箱では見せてもらったが、さすがに阿里山烏龍茶は試飲させてくれなかった。(ちぇっ)
続いて、丸いボールになっているジャスミン茶をいただく。お湯の中で一枚ずつ花びらが開いてゆくのがきれいだ。一枚一枚糸で拾ってボールにするというから大変な作業だろう。ゆえに、ちょっと高い。

その後は日常飲むのにいいという東方美人茶を試飲。これは烏龍茶だが紅茶に近い部類で、ビタミンも多く含み体にも美容にもいいのだそうだ。名前がよいのでイメージもアップする。朝飲んだお茶の葉を残しておいて、夜もおいしくのめるそうだ。また、自分で他の茶葉とブレンドしてもよいそうだ。
右から凍頂烏龍、高山烏龍、阿里山烏龍茶
最後はプーアール茶。これには「何年もの」というのがあるらしく、若いものはただクセが強いだけだが、年を経るにしたがって味がよくなるのだという。香港あたりでは、日常的にがぶがぶ飲んでいるが、このお店で見た20年物などになると価格が高め。脂肪を分解するとか、体に良いとか言われているが、どんなものだろう。
試飲の後は、店内を見て周り、当然また買うことに・・・・。
東方美人650元、ジャスミン茶650元、プーアール茶960元、しめて2,260元(大体日本円にする8,600円)。

右から凍頂烏龍、高山烏龍、試飲には出てこなかった阿里山烏龍茶、
丸く薄いものが束ねられているのがプーアール茶20年もの、袋入りがジャスミン茶。



キンギョク満堂だよ
昼食前にはデューティーフリーショップに運ばれ、いったん解散。一時間ほどしたら昼食場所に連れて行ってもらうので出口のところに行ってくれというものだった。ブランド品が集中している立派な免税店だが、隣がホテルなので早速抜け出し、一休みする。

適当な時間に免税店に戻って、今度は昼食だけ違うガイドさん・劉さんにピックアップしてもらう。ずうっと一緒のガイドの頼さんは他の人の金玉満堂ほうに付くのだそうで、食後また合流する。

昼食のレストランは、ホテルからそう遠くない金玉満堂だ。免税店からタクシーで行く。
頼さんも劉さんも「金玉」は「キンギョク」と読んでくださいと注意するのだが、これは、日本人をここに案内するガイドさんが必ず言う決まり文句のようだ。

食事は飲茶。飲茶はあまりしつこくないからある程度は食べられるが、こう次々出されては完食は不可能だ。毎日似たようなものだし、さすがにそろそろ飽きてきた。

故宮博物院
鼎泰豊で昼食を食べているツアーの人たちを拾って、混乗車は午後一番の観光・故宮博物院へ向かう。

故宮の入場券故宮の日本語案内図故宮とは北京の紫禁城のことだ。蒋介石が中国本土の故宮にあった美術品を、内戦中に散逸を防ぎ避難させるために台湾に持ち出したきり、数あまたのお宝は中国本土に帰っていない。台湾のガイドさんによると、中国本土の故宮・紫禁城は建物の価値はあるが、内容はいまひとつ。一方、台湾の故宮博物院自体は建物としての歴史は新しく1965年の建築だが、コレクションは中国の歴史文化を語る上で重要なものばかりだということだ。
                     
 左:国立故宮博物院 入場券(表と裏)
  右:故宮博物館のパンフレットの一部 右から5番目が翠玉白菜



レシート中は広く、ゆったりとしているが、日本人観光客が多く、あちこちから日本語の解説が聞こえてくる。私たちもガイドさんの説明を聞きながら回る。ここではフリータイムでなく、解説が付くほうが見学のポイントが絞れてありがたい。 館内の照明はおとし気味。彩色の陶器や何重にもなった象牙の透かし彫りの細工箱、当時の印鑑等興味は尽きないが、いかんせん人が多すぎる。またコレクションも多すぎて、とても見切れない。展示品の制作年代の記載が〜年ごろでなく〜帝の頃という表示になっているのが面白い。


必見のものが、玉(貴石)を彫った白菜「翠玉白菜」と、天然にできた豚の角煮そっくりの「肉形石」だというところに、食への愛着が感じられて面白い。ほかに優れた美術品は山のようにあるのだが、この二品が分かりやすいから受けがいいのだろうか。

マウスパッドヒスイの下部が白くなっていて、そこを根元に見立て、葉になるにしたがってみどりが強くなるあたりは、よく丁度よい素材を見つけて細工をしたものだと感心する。もちろん白菜だけでなく、キリギリスも多産・子孫繁栄のシンボルとして白菜の葉の上にくっついて彫られている。「翠玉白菜」のありかは館内の壁に矢印で示されているので、やはり人気の展示物なのだろう。ルーブルだとモナリザに相当するという感じだろうか。白菜はそれでも細工がすばらしいといえるが、「肉形石」はただ食べ物に似ている石というだけで、金の台座をくっつけて展示されるに至った代物だ。美術的価値ってあるの? でも、確かに角煮そっくりで、見た目もやわらかそうだ。最後にお土産ショップで、マウスパッドを買ったが、その中のひとつ光線の角度で翠玉白菜と肉形石になるものがあった。知らない人にはしゃれにもならないので、他のものにした。

 おみやげ買ったマウスパッド  
          レシートの「滑鼠」とあるのは、マウスパッドのことだそうだ。
  


忠烈祠
衛兵の交替式忠烈祠の衛兵故宮の近くに位置する忠烈祠は、国のために命を落とした軍人達を祀ったもの。この英霊の中には対日抗戦の勇士も入っている。

入り口には微動だにしない衛兵が立っており、一時間ごとに交替があるということなので、その一部始終見る。入り口から奥の本殿までの移動、交替の儀式をして戻ってくるまで、全部で20分くらいになる。兵隊さんたちが歩き始めると、みんなその横を一緒にぞろぞろと移動し、儀式を見終えるとまた一緒に戻ってくる。

B級グルメ、牛肉麺を食べよう!
観光が終わると最後はみやげもの屋に案内される。家族の名前の漢字を頭に漢詩を作って掛け軸にしてくれるというお土産をガイドさんが薦めるが、めったにそんなものを頼む人はいないだろうと思う。簡単に乾燥いちじくを一袋買って済ませ、あとは時間まで座ってお茶を飲ませてもらう。店員さんと話しているうちに、食事の話になり、「台湾きたら、牛肉麺を食べないとダメ。」と言われる。どこで食べたらいいかと聞くと、「町の中どこにでもある、この店の向かいにもある。」ということだったので、店を出て場所を確認した。

みやげもの屋は長春路にあり、このあたりは中心地らしく飲食店も多い。どうやら店員さんが言っていたらしき食堂も見つかったし、ホテルからも近いので、夕食にはこの辺りまで繰り出そうと決める。

みやげものや屋に戻り、ホテルに連れ帰ってもらったあとは、フリータイムだ。 
ホテルで一休みしたら、早めの夕食に出かける。さっき見た牛肉面のお店に向かう。途中の裏通りには屋台も出始めている。なんだかこういうところでもっと楽しみたかったなあという気持ちになる。

牛筋と牛角煮麺140元程なく長春路に到着。右に曲がってしばらく行くと、目指す牛肉麺の店伍染玖牛肉麺に到着。中は気楽な大衆食堂だ。早速入って、写真つきのメニューから牛肉麺を探す。ミックス牛角煮麺170元、牛筋と牛角煮麺140元を注文。お茶は50元だった。汁は黒っぽくにごっているので、中がよく見えない。麺は丸くて太めでうどんみたいだった。牛肉がごろごろ入っており、牛筋のコラーゲンもたくさん入っていたが、いくら美容に良いといったってとても食べきれない。牛角煮のみにしておけばよかったかも。隣のテーブルには日本人の若者達が来ていて、色々注文している。何人もいれば、いろいろな種類のお料理を食べられて、いいなあと思った。

夜の台北小散歩
夕食の後はホテルを通り過ぎ、台北の駅のほうまで散歩した。途中の三越で、中華の調味料や食品が買えないかと思っていってみたが、日本の食材ばっかりだった。例によって、台湾語ではなんの解説もなく、日本語のままで売られている。これらは日本人が買うのだろうか???やっと中華風のスパイスを見つけて購入。40元。

デコレーションケーキきれいなマカロンが売っていたので買ってゆく。おしゃれ!ひとつ60元と高め。
ケーキもあるが、デコレーションが日本にあるものとなんか違う。

台北駅は大きな駅舎だ。地下にもぐって、切符の自動販売機を見てくる。そんなに遅い時間ではないのに、あまり人通りがないので一階に戻る。駅周辺があまりにぎわっていないのは意外だった。すぐ近くに繁華街はあるのに駅の前だけブラックホールのようだ。北口でなく反対側ならにぎやかだったのだろうか。北側には地下街があるらしく、もぐる階段もあるが途中まで行ってみてなんとなくうす暗いのでやめた。ぼちぼち大通りの中山北路に出て歩いて帰る。

途中、ガイドブックにはのっていないが、おしゃれなお茶屋さんやレストランがある。今度来るときは行き当たりばったりでお店を選んでもいいかもしれない。

<1月28日>
最後の〆は免税店
帰りの飛行機は午後だというのに、ホテルへの迎えは10時40分。ゆっくり朝食のブッフェを頂き、ホテルの周りを散歩する。
ホテルを出発すると、最後の免税店に行く。ここは洗練されたヨーロッパブランドの免税品店で、特に買うものはないので、パイナップルケーキ(320元)をひと箱だけ買って店を脱出。集合時間まで店周辺の散策に出かける。
裏道にあったお茶のスタンド。
裏通りに入っていくと飲食店がいくつかなんでいるが、今食べるには重過ぎる。簡単にお茶がのめればいいと思っていたら、お茶のスタンドがある。奥に椅子もあるので座らせてもらって、杏仁ミルクティーを頼む。ここはメニューを指差して頼むのだが通じない。店員が若い子なので英語ならOKなのだが、日本語など知るわけもないという感じだった。そんなことは当たり前なのだが、こう町中に日本語が氾濫しているのを見ると、もしかしたら日本語でも通じるかも、という錯覚をもってしまう。

自由時間終了に付き、免税店に戻る。
後は空港まで混乗バスで一直線。

15時発のフライトまで、空港内のレストランで最後の牛肉麺を食べようかと思ったが、おなかがすかないし、調子もよくない。ここはあきらめて、残った台湾元の処分をする。ツアーのため、意外と現地通貨を使わなかったので、ちょっとしたお菓子とレトルトのふかひれの煮込みが買えた。

東京には19時着。たった3泊4日だったが、よく遊んだ気がする旅だった。


  付録 訪問免税品店
 1日目:東楽名産(茶葉、食品中心)/台湾市吉林路369号
 2日目:フローレス(民芸品、食品等)/台湾市信義路2段1号1ロウ
 3日目:茶楽(茶葉・茶器専門店)
     :DFSギャラリア(ブランド品、食品等)/台北市中山北路2段39巷3号B2
     :金龍藝品有限公司(工芸品、食品等)/台湾市長春路90号
 4日目:エバーリッチ免税店(ブランド品、食品等)/台北市民権東路3段72号B1  
  ★上記のお店で買った色々。
凍頂烏龍茶
東方美人茶
からすみ  
安いといっても、日本円で4千円近くする。オレンジで透明感のあるのがよい。
甘辛い味付けの乾燥させた豚肉。
これがわりと旨い。
茶楽で購入したお茶
東方美人、プーアール茶20年もの、ジャスミン茶
ふかひれのスープのレトルト、肉料理の調味料、乾燥いちじく 飛行場で買った菓子
パイナップルケーキ

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